■ 二人の想い
【絵美子】
「せ〜ん〜ぱいっ! ふ〜っ♪」


【真希】
「ひっ……」


うなじの辺りがぞくぞくっとする。


【真希】
「絵美子ッ!
 首に息吹きかけるなって言ったでしょっ!」


【絵美子】
「ふふ、先輩って敏感なんですね♪」


ダメ……、全然人の話聞いてない。


はぁ〜


思わず溜息が出ちゃう。
何でこんなことになったのかしら?


どうしてこんなことになったのか……
今週に入ってから何回こんなこと考えたん
だろう?


そのたびに出るのは溜息ばっかり。


結局、私が優柔不断だったのがいけないん
だけど……でも、ねぇ……。


自分はもっと普通の人間だと思っていた。
ちゃんと男の人を好きになって、付き合って、
普通の青春を送るんだと思っていた。


それが……


一時の気の迷いでこんなことになるなんて……


【絵美子】
「ふ〜っ♪」


ぞくぞくぞくっ


【真希】
「絵美子ッ!」


【絵美子】
「せんぱ〜い、急がないと遅刻ですよ〜?」


耳元へ、まるで赤ん坊をあやす様な優しげな
言葉を投げかけてくる絵美子。


……………………


そんな絵美子が、ちょっと可愛いと思って
しまう私……。


妙に恥ずかしくて顔が赤くなってしまう。


【絵美子】
「先輩? もう28分ですよ?」


途端に我に返った。


目の前には長い坂道。
学園は丘の上にあるから……。


【真希】
「きゃあ〜〜〜〜、大変〜っ!!」


一生懸命に自転車を漕ぐ。
絵美子も自転車を降りて、私の自転車を後ろ
から押してくれる。


………………………………


……………………


…………


天崎女子学園。
私や絵美子が通う女子だけの学園。


小さな町にある唯一大きい施設で、
ここの学生でこの町は成り立っていると
言っても言い過ぎじゃないくらい大きい。


中・高・大と一貫教育で、近いうちに小学部も
できるらしい。


私は高等部からだけど、絵美子は中等部から
らしい。


だからなのだろうか?
彼女は『男性』に興味がないらしい。


……いや、むしろ恐怖さえ感じるらしい。


それは、彼女の家庭環境の方が大きく影響して
いるかも知れない。


絵美子のお父さんは絵美子が5歳の時に、
多額の借金を残して失踪している。


それからのお母さんの苦労を見てきたことと、
父親っ子だった絵美子がそれを裏切りと
とっても仕方のないことだ。


私は……絵美子の、そんな過去を知って
しまったことで、彼女に同情しているのかも
知れない。


そう、初めは同情だったはず……。


それが…………


【絵美子】
『先輩……、わたし、先輩のことが……
 先輩のことが好きなんです』


そう言われて、自分が絵美子に対して実は
同情ではなく、愛情を持ってしまっている
ことに気が付いてしまった。


【絵美子】
『先輩……、付き合ってください』


……………………


【絵美子】
『普通じゃないことは分かってるんです……』


……………………


【絵美子】
『……でも、でも先輩のことが好きで好きで』


……………………


【絵美子】
『もう耐えられないんです。
 いい返事がもらえても、もらえなくても、
 ハッキリとさせたいんです』


……………………


【絵美子】
『先輩…………』


思わず抱き締めてしまった。


そんなつもりじゃない。
……はずだった。


でも、自然と抱き締めてしまった。


【絵美子】
『先輩…………先輩…………』


何も言えなかった。


私の胸に顔を埋めて泣きじゃくる絵美子の頭を
そっと撫でながら、いつまでも、いつまでも
抱き締めてあげた。


……ううん、抱き締めてあげたかったんじゃ
ないかも知れない。


……抱き締めたかったのかも知れない。


………………………………


……………………


…………


そして、私達は付き合い始めた。


表向きは友達として。


私たちの仲の良さに勘繰る人たちもいたけど、
『そうよ。私達付き合ってるの』と笑顔で
答えれば、みんな本気にしなかった。


お互いの家もよく行き来したし、泊まることも
よくあった。


親達はそんな関係だとは全く思っていない
ようで、『仲が良くって羨ましいくらい』
とさえ言っていた。


もう、絵美子がいなくなる事なんて考えられ
ない。


――そう、もう2人は離れられなくなって
しまっている。


………………………………


……………………


…………


英語の教師が閉めようとしている校門から
ギリギリ敷地内に入り込む。


よかった。
彼に捕まると、それだけで1限目は指導室で
正座しっぱなしってことにもなりかねない。


この段階での遅刻は避けられたみたい。
後は担任が教室に入るまでに教室に辿り着け
れば、完璧だ。


校舎の右側へ回りこみ、自転車置き場へ
自転車を置きに行く。


自転車で登校しているわけでもないのに
絵美子も私の後をついてくる。


【真希】
「いいんだよ、絵美子?
 遅刻しちゃうし、先に教室行きなよ」


【絵美子】
「え、いいですよ。
 私のことより、先輩こそ大丈夫ですか?
 私は2階ですけど、先輩の教室は3階じゃ
 ないですか」


申し訳なさそうに、上目がちで私の顔を見る。


きっと遅刻しそうだからといって、私を残して
先に教室へ行くなんてコトできないんだろう
なぁ。


そんな健気な絵美子が、やっぱり可愛く見えて
しまう。


【真希】
「うん、大丈夫だよ。
 ありがと」


周りに人がいないことを確認してから、
絵美子にキスをする。


【絵美子】
「ん…………んんっ……」


絵美子も応えてくれる。


…………


そっと、名残惜しげに唇を離す。


絵美子も目を閉じたまま深く息を吐いてから、
ゆっくりと目を開いた。


【絵美子】
「――このまま…………」


まるで、空気にさえ聞かれたくない様な小さな
声で、絵美子は言葉を紡ぎ出した。


【真希】
「ん? 何?」


【絵美子】
「――このまま……1限目、サボっちゃい
 ましょうか?」


頬を赤らめながら微笑んで、絵美子はそう
言った。


【真希】
「ダ、ダメに決まってるでしょ!
 早く中入るわよ」


【絵美子】
「ちぇー、残念だなぁ」


そう言いながらも少し嬉しそうな絵美子の手を
引きながら、下駄箱のある昇降口へ急いで
駆け込む。


………………………………


……………………


…………


正確に言うなら、多分その日が私達の運命を
変えた日だろう。


翌日、学園中に張り出された私達のキスして
いる時の写真。


友人達にも、教師達にも、親達にも、町中の
人から奇異の目で見られ、逃げ出すように
2人で町を出た。


勿論、転校してもよかったけど、そのまま
働くことにした。


それはただ2人で居るだけでは足りなく
なってしまったから……。


一緒にいるだけでは物足りない……、
2人で一緒に何かをしたかったから……。





▼設定資料

この話は友人から聞いた実話を元に多少表現を
大きくしたり抑えたりしたもので、
当然登場人物の名前は勝手に作ったものです。


名前はめちゃめちゃ簡単で有りそうで実はない
かも……みたいなのにしてみた。

当然、まったく意味はないけどね。

▼キャラクター設定

笹宮 真希 (ささみや まき)
女 18歳
天崎女子学園の高等部3年生。
特に可愛いと言うわけでもなく、カッコイイ
というわけでもない、普通の女の子。
絵美子と付き合うようになってから、少しずつ
開花してしまう(笑
一人っ子で、心のどこかで姉妹が欲しいと
思っていた部分がある。
首筋が弱い(本人談)
で、そこを絵美子によくせめられる(本人談)


結城 絵美子 (ゆうき えみこ)
女 17歳
天崎女子学園の高等部2年生。
真希の後輩で、真希に思いを寄せるちょっと
アブナイ娘。
実は結構重い過去を持ってる。
男性恐怖症。
物心がつき始めた頃に父親が失踪したため、
母親一人に育てられる。
父親っ子だった分、裏切られたと感じる部分が
大きかったと思われる。
また、母親に甘えることができなくなった
からか、乳房に対して異常な興味を持つ。
乳フェチにして、なぜか耳フェチ(本人談)

▼ネタバラシ

実はこの話を聞くまでは、そんなの嘘だと
思ってた。
まあ、世の中ってのは広いもんで色んな
人間がいるんだなぁ、ってのが正直な感想。
そういう人もいるんすね。




ちなみに、付き合うきっかけになった絵美子の
セリフは実話から直接引用しました。


やっぱ、そういう気持ちとかほとんど理解でき
ないから、何となく話がまとまっていない感じ
になってしまった(猛省

▼ちょっとした感想

やっちまった。
そんな思いでいっぱい。
もういっぱいいっぱい。
いや、内容もやっちまったって感じですけど、
それ以上に時間かけ過ぎ。
こんなんじゃ、物書きにはなれないぞ。
いや、ならないけどサ。

やっぱ落ちてないなぁ。
ダメダメじゃん。

……………………あうぅぅぅぅぅ

情報提供者のお二方、申し訳ない。
こんなんじゃ、お見せできません。
いや、本人たちには見せないけど。
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