『重い……。
胸の上に何か乗ってる……』
息苦しさで目を覚ます。
『知らない天井だ……』
頭が痛い。
ここがどこかも分からない。
目線を自分の足の方へゆっくりと移す。
そこで初めて息苦しい原因に気が付いた。
胸の上に頭がある。
金に近い茶色の長い髪がはえた人間の頭だ。
一気に頭に血が昇る。
『誰だ、こいつ!? 何処だ、ここ!?』
知らない人間、知らない場所。
必死に寝る前の事を思い出してみる。
俺と俺の友人隆司、雅美の3人で飲んでて……
……あれ?
それでどうしたんだ?
かなりたくさん飲んで、暴れて2回程店員に怒られたり、
ジョッキ落として割ったり……。
そこまでは覚えてるが、そこからは?
……繋がんねぇ。
そっから今に記憶が飛んでる!?
何があったんだ?
焦って首だけで辺りを見回してみる。
???
自分のすぐ横にもう一つ頭が……
更にその向こうにも頭が……
最早理解不能
てか、トイレ行きたい。
……胸の上のこの頭、どうしよう?
オロオロしてると、急に軽くなった。
人の胸の上で寝ていた女性が起きたのだ。
【女性】
「ふあぁぁぁ……ん〜〜〜。あ、おはよ」
大口開けてデカイ欠伸をかました後、
目覚めている俺に気が付いて声を掛けてきた。
【彰人】
「あ、どうも。おはようございます」
【女性】
「お♪ お酒も抜けて元気になったようだねぇ、
彰人くん」
【彰人】
「はあ……」
【女性】
「あれ? まだ元気じゃなかったりする?」
【彰人】
「えっと……あの、つかぬ事を伺いますが……」
【女性】
「ん? 何かな」
【彰人】
「どちら様でしょう?」
【女性】
「は?」
【彰人】
「ここ、どこなんでしょう?」
【女性】
「え……」
【彰人】
「何があったんです?」
【女性】
「覚えてないの? 昨日のこと……」
【彰人】
「友人達と飲んでたのは覚えてるんですが、
それ以降サッパリ」
【女性】
「……ヒドイ」
【彰人】
「は?」
【女性】
「あんなに強引だったのに!」
【彰人】
「え……」
……まさか……この女性と、なんかあったのか!?
ヤバイ……
雅美という彼女がありながら、もしかして……
【女性】
「あんな経験初めてだったのに」
うわあぁぁぁぁぁ、何したんだ? 俺……
【彰人】
「あ、あの、ホントにごめんなさい。
全く覚えてないんです」
【女性】
「……ホントに覚えてないの?」
【彰人】
「はい……」
間が空く。30秒ほど。
辛い時間だ。
口の中が渇いていくのを強く感じる。
【女性】
「昨日ね、雅美に呼ばれたのよ。
『楽しいから来なさいよ』って」
唐突に話し始める女性。
どうやら、俺の記憶がすでに飛んでからの出来事らしい。
【女性】
「で、行ってみんなで飲んで、
私と隆司君が意気投合したの見て
『4人でホテル行こう!』って言い出したのよ」
【彰人】
「いいっ!?」
【女性】
「それで4人部屋借りて……」
…………
自分が言った事らしいが理解不能。
俺は……そんなキャラだったのか……?
【彰人】
「で、ここなワケなんだ?」
【女性】
「そうそう」
【彰人】
「もしかして、俺、君と……」
【女性】
「な〜んにもなかったよ」
ホッ
ヨカッタ、ヨカッタ。
とりあえずは一安心だ。
【女性】
「部屋入るなりトイレで吐き始めちゃうんだもん」
………………
【女性】
「トイレ綺麗にして出てきたら、隆司君と二人で
寝ちゃってるし……。
ホント、あんな経験初めてよ」
ってことは、この横にある頭2つが雅美と隆司か。
………………
………………
女性の話では、ホテルに来たのに結局何にもしないで
4人寝てしまったんだそうで。
いい笑い話だよ、まったく。
4人ホテルを出た時に誰からともなく笑いがこぼれる。
それにつられてみんな笑い出す。
4人の笑い声は駅に着くまで絶える事はなかった。
………………
………………
あ〜、そういえば名前訊くの忘れてたなぁ。
ま、雅美の友人ならまた会う機会もあるし、
今度本人から聞けばいいか。
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▼設定資料
この話も友人から聞いた実話を元に多少表現を
大きくしたり抑えたりしたもので、
当然登場人物の名前は勝手に作ったものですし、
……まあ、なんだ。その……
色んな人がいるってことで。
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▼キャラクター設定
彰人 (あきと)
男 21歳
酒は弱いくせに酒を飲むのが大好きな愚か者。
女性関係は意外と真面目。
雅美 (まさみ)
女 23歳
彰人の彼女。
こっちも酒に弱いくせに酒を飲むのが大好き。
酔うと知り合いに電話をかけまくる困った癖の持ち主。
隆司 (たかし)
男 21歳
彰人の友人。
バイトで知り合い、頻繁に彰人と遊んでいる遊び人。
比較的酒は強いやつだったはず……。
女性
女 23歳
頭の回転がいいのに、
それを悪い方向にしか使わない痛い娘。
酒が異様に強く、マジでザル。
なんとなくイメージの合う名前が思い浮かばなかったから
今回は名前なしで
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